こんにちは、Yoruです。
今回は、『TOEIC亡国論』を読んだ感想を書きたいと思います。
本の概要
日本人の英語力が一向に上がらないのは一体なぜなのか。
これが本書のテーマです。
著者の猪浦先生は、日本の英語教育がTOEICを中心としたものであることに危機感を示しています。
TOEIC中心の英語教育を否定し、具体的な英語学習法を提示しています。
本の感想
この本は誰に向けて書いたのかよくわからなかった…。
少なくとも英語学習者ではなく、教育者あるいは研究者(?)ではないかと。
TOEIC批判について
TOEICテストが英語力を測るものではない、ということを様々な角度で検証して羅列しています。
TOEICスコアが高い人が必ずしも英語運用力が高いと言えない、という点では同意できる部分もあります。
しかし、全体的には「TOEICの中身をよく知らない人」が「TOEIC嫌い」を主張しているだけのような印象を受けました。
著者は「スコア900点でもろくに英語を理解できない人がいる」という事実を持ち出して『TOEICをビジネスピープルの英語能力査定に採用するは馬鹿げている』と言っています。
わたしは、TOEICは900点を取ってからが本当の意味での英語能力試験だと思っているので、スコア900点の人の能力で判断されてもなー…というのが正直な感想です。
他にも、著者いわくTOEICは『四択のテストなので、フィーリングで正解を得ることができる』『何度も受ければ高得点がでる』ということですが、これにも同意できない。
TOEICって思った以上に良質なテストで、フィーリングで正解する問題があったとしても英語のレベルが上がらないとスコアは伸びない、というのがわたしの経験です。
著者がTOEIC嫌いなのはいいとしても、TOEIC受けたことないのでは?と思ってしまいます。
ただ、TOEICの対象はビジネス英語なので、限定的であることは否定できないですね。
あとは、個人的な感覚としてはTOEIC860点以下はテクニックを集めれば突破できちゃうこともあるので、その点では著者の言う『何度も受ければ高得点が出る』ということにも同意できます。
これは、ある程度のスコアまでは、TOEICを受ける側の姿勢にも問題があるかと。
ゲーム感覚でTOEICスコアを取る人も一定数います。
ただ、ゲーム感覚の人とTOEICを通して英語力を付けようと努力している人では英語のアウトプット能力に差があるよ、ということです。
でもそれはスコア900点未満のお話。
900点以上取るならば、それなりに総合的な英語力が必要です。
というよりも、スコア900点以上を取るための勉強法をしていれば、スピーキングやライティングの能力も自然とレベルアップすると思います。
英語学習法について
著者の提言する英語学習法については、納得できる部分が多くありました。
ただ、王道と言えば王道ですが、少し回りくどいかなと思います。
特に文法や文構造をしっかりと学んでいく点。
通訳や翻訳を仕事としたいならそういった基本的なことをしっかりと学習する必要があるのでしょうが、そうでないなら必要なさそうです。
著者は「外国語を学ぶ前にまず国語力を身につけるべき」という旨のことを言っていますが、たしかにそうだな、と思いました。
最近、日本語が不自由な人が多くないですか?
話し言葉は別に構わないと思います。わたしもずいぶんと雑な日本語を話しています。(-_-;)
でも、書き言葉、特に仕事で目にする報告書で意味のわかりづらい日本語になっちゃっている人がいるんですねぇ。
わたしも人のことは言えなくて、むしろ作文は苦手分野なので、勉強したいと思っていたところです。
日本語で文章を書けない人が英語で書けるわけはないですよね。
まとめ
「この本を誰におすすめするか」と考えたとき、かなり悩ましいです。
論文調なので、読者の対象は英語学習法を学びたい人ではありません。
しいて言うなら、「TOEICや英語学習法に関して幅広い意見を聞きたい人」ですかねぇ。